村田雅志のKlugView グローバル投資のポイント

過度な悲観視は禁物と思われる日本株の先行き

3月18日の東京株式市場では、日経平均が一時8,000円台の大台を回復しました。17日に発表された米国の住宅着工が大幅に改善されたことが好感され、ダウ工業株30種平均が、約1カ月ぶりの高値で取引を終えたことや、最近の円安傾向が日本株上昇のきっかけとなったようです。

ただ、日本株の上昇については、懐疑的に考えている方が多いのも事実です。日本経済は、輸出企業を中心に外需に依存しているため、米国を初めとする世界経済の回復がない限り、日本企業の業績改善は見込みにくく、結果として日本株の上昇も期待できないという考え方です。世界的に金融システム不安が高まっていることも、世界経済の回復が当面、見込めないという見方の背景にあるかと思われます。

日本株の上昇は、ここ数日のことですので、こうした見方を裏付けるかのように、日本株が再び下落基調を強める可能性はあると思います。しかし、株式市場が悲観的な材料を十分すぎるほど織り込んでいる現状を考えると、日本株は、このまま最悪圏を脱し、企業収益にとってポジティブな要因を織り込みながら、徐々に上昇を続けるのでは?と(期待を込めながら)思い始めています。

マクロ経済の点で日本企業にとってポジティブなことの1つは、日本の交易条件が改善していることです。交易条件指数とは、製造業の投入物価(原材料価格)に対する産出物価(販売価格)の比率のことで、交易条件指数が上昇する、つまり販売価格が原材料価格よりも相対的に上昇すれば、製造業の収益性は高まると考え、一方、交易条件指数が低下する、つまり原材料価格が販売価格よりも相対的に上昇すると、製造業の収益性は低くなると考えます。

あまり大きく報じられていないようですが、日本の交易条件は、昨年10月より改善しており、今年1月の交易条件は、前年同月比3.1%上昇と、1990年以降で過去最大の改善率を示しています。業種別にみると、石油・石炭製品、非鉄金属、食料品、化学製品など、川上に属する業種や内需型産業での改善が目立っています。

採算性が改善している(交易条件が上昇している)ということは、販売数量が多少でも回復を示せば、増益率は大きく改善することになります。世界各国で実施されている景気対策もあって、世界経済の底割れは回避できる可能性が高まっており、世界経済が、底ばいから徐々に回復に向かう展開を期待してもよい気がします。日本株の上昇は、こうした期待を織り込もうとしているのかもしれません。


村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●

日本の交易条件が改善しているのはいつから?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

08年(昨年)10月


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村田雅志(むらた・まさし)

FXCMジャパン チーフエコノミスト 兼 営業部長
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
09年4月より専修大学客員教授。09年6月より現職。
東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了、Columbia University Master of International Affairs修了、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」、「一冊まるごと投資商品超入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」など

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