村田雅志のKlugView グローバル投資のポイント

FX投資家にとっても悩ましいドル円の先行き

マスコミ報道などを見ていると、日本の個人投資家の多くは、高い金利収入を求め、外貨買い・円売りの投資を進めてきたといわれています。外貨預金や外貨MMFに資金を預けたり、外国の債券を購入するといった行動です。最近、普及が著しい外国為替証拠金取引(FX)において、投資家の多くが、外貨買い・円売りのポジションを作るのも、スワップポイントという擬似的な金利収入を得るためといわれています。

米国を初めとする世界各国は、景気後退を背景に利下げを進めています。たとえば、昨年の今頃には3%近くあった日米の政策金利の差は、米国の景気後退とともに徐々に縮小し、足元では、ほとんどゼロの状態です。一方、インフレ圧力が強いオーストラリアやニュージーランドでは、利下げが実施されたものの、日本との金利差は依然として大きく、今でも3%弱の差があります。

FXの一サービスである「くりっく365」の売買動向をみると、昨年の今頃から、全ポジションに対するドル円の比率が低下する一方で、比較的、高金利を維持してきた豪ドル円の比率が上昇し始め、サブプライムショックがあった昨年夏場には、ドル円と豪ドル円の割合は、ほとんど同じになっています。

仮に日本の個人投資家が、あくまで金利収入にこだわるのであれば、米ドルへの投資を取り崩し、豪ドルやNZドルへの投資を拡大させることになります。昨年夏場までの動きは、こうした考え方を証明するものといえなくもありません。

しかし、昨年夏場を過ぎると、全ポジションに対するドル円の割合は再び上昇し、豪ドル円の割合を上回っています。昨年夏以降も、米国の利下げは続いていましたので、仮に日本のFX投資家が金利差を狙う戦略を続けるのであれば、ドル円の割合は豪ドル円の割合を下回るはずです。

あくまで推測でしかありませんが、日本のFX投資家は、金利収入を狙った戦略から、為替レートの変動から利益を得る為替差益を狙う戦略に転換したのかもしれません。ドル円は、豪ドル円に比べ流動性が高いので、機動的に為替差益を狙うのであれば、最適な通貨ペアですので、FX投資家が為替差益を狙う傾向を強めたならば、ドル円の取引割合が高まることは自然と思われます。

仮にこの考え方が正しいのであれば、ドル円の取引に占めるドル買いの割合が、FX投資家が考える「ドル円の先行き」を示しているといえます。ドル円取引に占めるドル買いの割合を見ると、今年2月に入ってからドル買いの割合が50%を下回り、ドル売りの割合がドル買いの比率を上回る状態になっています。米国の景気悪化が続いていることから、FX投資家はドルが下落すると予想していたと判断できます。

興味深いのは、ここ数日、ドル買いの割合が上昇し、昨日(3月11日)時点で、ドル買いとドル売りの割合がほぼ一致していることです。ここ数日、ドル円の上昇が続いていた為替市場は、本日(3月12日)の東京外国為替市場では、一時的とはいえ95円台に突入しています。ドル円の先行きは、市場関係者だけでなく、FX投資家にとっても悩ましいものなのかもしれません。


村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●

日本とオーストラリアとの間の政策金利の差はどれくらい?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

3%弱くらい


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03月12日更新

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村田雅志(むらた・まさし)

FXCMジャパン チーフエコノミスト 兼 営業部長
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
09年4月より専修大学客員教授。09年6月より現職。
東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了、Columbia University Master of International Affairs修了、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」、「一冊まるごと投資商品超入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」など

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