村田雅志のKlugView グローバル投資のポイント

ドル高ではなく円安を示している外国為替市場

1月の貿易統計によると、貿易収支は9526億円の赤字と、1980年1月に記録した8248億円の赤字を上回り、統計開始以来最大の赤字額を記録しました。原油価格の低下や内需低迷によって、輸入額が前年同月比31.7%も減少しましたが、自動車や半導体を中心に輸出額が同45.7%も減少したことで、貿易赤字は拡大しました。

一般的な経済学では、貿易赤字の国の通貨は、価値が下がる傾向にあると考えられます。貿易赤字の国は、赤字分を埋め合わせる(ファイナンスする)ために、外国から資金を調達する必要があるため、自国通貨を売って、外国の通貨を入手する(買う)必要があると考えられるからです。

これまで日本は、長い間、貿易黒字を続けていたため、円レートは(貿易赤字国とは逆に)上昇しやすいと考えられていました。しかし、足元で貿易赤字が拡大しているということは、こうした考え方も通用しなくなってきたといえます。

25日の外国為替市場では、ドル円レートが3カ月ぶりとなる97円台を記録しました。市場では、ドルの買戻しを指摘する声もありますが、ドルスイスがさほど上昇していない一方で、ユーロ円がドル円と同じように上昇傾向にあります。これまでっ黒字を続けてきた貿易収支が赤字に転じている点も加味すると、ドル円の動きは、ドル買いというよりも、円売りの動きが強まった結果とみたほうが正しいように思われます。

日本の株式市場を見ても、前日に米国株が大きく上昇したにもかかわらず、日本株は米国株ほど上昇しないなど、為替市場だけでなく株式市場でも日本に対する見方は厳しいようです。

米国経済が大きく改善する気配があるわけでもなく、金融システム不安が足元では再燃している感もあるだけに、ドルが上昇することは、本来なら難しいと考えるべきです。しかし、円がドル以上に弱い以上、2つの通貨の交換比率を示す為替レートは、表面的にはドルが上昇したかのような結果を示してもおかしくないといえるのです。


村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●

1月の貿易赤字が過去最大!
これまで貿易赤字が最大だったのはいつ?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

1980年1月


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03月12日更新

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村田雅志(むらた・まさし)

FXCMジャパン チーフエコノミスト 兼 営業部長
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
09年4月より専修大学客員教授。09年6月より現職。
東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了、Columbia University Master of International Affairs修了、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」、「一冊まるごと投資商品超入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」など

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