村田雅志のKlugView グローバル投資のポイント

長期金利上昇を示唆しているかもしれない最近の為替市場

今週は米国政府が発行する国債の入札が相次ぎました。10日には320億ドルの3年債、11日には210億ドルの10年債、そして12日には140億ドルの30年債の入札がそれぞれ実施されました。3つの入札の合計は、670億ドルと過去最大規模です。

今回の入札は、大型景気対策もあって昨年11月の規模(550億ドルを)を大きく上回っただけに、きちんと消化されるか懸念する声も出ていました。しかし結果を見ると、おおむね順調に消化されたようです。

ただ、今回の入札を無事に乗り切ったとはいえ、今後については、不安な面がないわけではありません。12日実施の30年債入札では、応札倍率が2.02倍と2008年2月以来の低い水準にとどまっています。また競争入札が占める割合も33.9%と、昨年11月の結果(42.9%)から低下しています。今後の入札においては、こうした結果を踏まえ、米国政府は多少高めの金利を提示する必要に迫られるのでしょう。

米国債の入札状況は、米国政府の信任を示すバロメータといえます。オバマ政権がスタートし、世界中がオバマ大統領の指導力を期待する声が強まっていますが、マネーの世界はドライなものです。米国政府の返済能力に疑念が生ずれば、たとえ短期金利が低くても、市場は高い金利を米国政府に求めます。

米国の景気対策規模は、総額7,890億ドル(約71兆円)に落ち着きそうで、当初の案に比べ規模が小さくなったとはいえ、米国政府は大量の資金(約2兆ドル)を市場から調達する必要があります。市場は、米国政府のこうした苦しい事情を見透かしているわけで、米国景気の先行きにかかわらず、今後、長期金利は上昇圧力がかかりやすくなります。

最近の為替市場では、米国経済の先行き不安がありつつも、ドルがジリジリと値を戻す動きが強まっている感もあります。米国の政策金利が(事実上)ゼロになったとはいえ、為替市場では、依然として金利差を意識した取引が続いています。為替市場でのドルの上昇は、米国の長期金利上昇の動きを織り込んだものなのかもしれません。


村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●

2月12日に実施された米国30年債の規模はどれくらい?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

140億ドル


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村田雅志(むらた・まさし)

FXCMジャパン チーフエコノミスト 兼 営業部長
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
09年4月より専修大学客員教授。09年6月より現職。
東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了、Columbia University Master of International Affairs修了、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」、「一冊まるごと投資商品超入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」など

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