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頭重い原油価格の背景 ― カギを握る製油所の稼働能力

 7月4日の独立記念日を過ぎて、米国では本格的なドライブシーズンを迎えています。一般的に、米国のドライブシーズンはレイバーデイを迎える9月の第1月曜日に終了すると考えられていますが、それまでの間、つまり夏休みを迎えている7月~8月、は米国のガソリン需要が最も増加する傾向があります。

 米国エネルギー省によると今年度の米国の1日当たりの石油需要は約1,900万バレルとなっています。そのうちガソリンの需要は900万バレル前後と、米国の石油需要の半分を占めています。そのため市場では、ドライブシーズンにはガソリン需要拡大が強く意識される傾向が高まります。

 しかしながら、NY市場のガソリンは7月6日に1.9480ドルまで落ち込んだ後に若干の回復を見せて節目とされた2ドル台に達したとはいえ、2.10ドルを上値抵抗にした頭重い動きが続いています。また、一方の原油価格も75ドル台を回復したとはいえ、78ドルを突破できない状況が続いています。

 とはいえ、NY市場では夏場の需要増加に加えハリケーンシーズンを迎えていることを受けて投機資金が僅かながら増加しています。NYエネルギー市場にどの程度の投機筋が参入している指標として注目されるCFTC報告(先物のみ)によると、原油市場の場合、7月13日時点の大口投機家の買い越し数は3万4,645枚。前週より8,430枚の増加です。また、同日のガソリン市場の買い越し数は3万9,342枚で前週より3,265枚となりました。

 しかしながら、3ヶ月前の4月時点では大口投機家の買い越し数が、原油市場の場合は10万枚を超えていたほか、ガソリン市場では8万枚に達していた状況から見ると、現在の原油、ガソリン市場では次第に買い気が強まっているとはいえ、ドライブシーズンの中でも最も需要の増加が期待される時期にしては買い人気が低迷した状況にあると考えられます。

 このようにNYの原油、ガソリンといったエネルギー市場の人気に盛り上がりが欠けるなかで頭重い動きになっている一因としては、米国のエネルギー需要の低迷とこれを受けて米国の在庫が依然として高水準となっていることが挙げられるでしょう。

 前述のように今年の1日当たりの石油需要は1,900万バレル前後が見込まれています。1,850万バレル前後だった前年度からは若干の回復が見られていますが、リーマンショック以前には2,000万バレル以上の需要を記録していただけに、全体としての石油需要は完全に回復には至っていないことが分かります。

 なお、ガソリン需要が石油需要全体の半分を占めるなど、米国の石油需要はガソリンが主導になっているという側面から、ガソリン需要の状況を知ることが米国の石油需要の状況を把握するのに有効と考えられます。その肝心のガソリン需要は1月当初の874万1,000バレルに対し、7月に入ってからは900万バレルを越える状況が続くなど、夏場にかけて増加しているとはいえ、970万バレルを記録していた2007年度に比べると、需要に見劣りがする感は否めません。

 それでは、このような需要の停滞がガソリン在庫にどのような影響を与えているかというと、米国エネルギー省が発表するガソリン在庫報告によれば、7月8日現在の米国のガソリン在庫量は2億1,940万バレル。前週からは130万バレル、そして前年同時期に比べると630万バレルの増加となっています。在庫の高水準は、需要の減退や供給過多に対する警戒感を強めるため、この在庫状況が今後も市場の重石になってくる可能性があります。

 しかしながら、ここで注意しておきたいのは、米国エネルギー省が米国全体の製油所の稼動能力が2003年以来、初めて減少した、と報告している点です。同省によると、リーマンショックとその後の金融危機の影響で米国内の石油需要が長期にわたって低迷していることを受け、米国内の製油稼働能力が減少しています。

 なお、米国の製油所の能力については、設備の老朽化が進んでおり効率が悪い、という点がたびたび言及されています。そのため、好景気でエネルギー需要が旺盛だった2006年、2007年には90%を超える稼働率を記録しても膨らむ需要に対応出来ず供給が不足するのではないか、という点が常に懸念されていました。

 現在は、稼働率が90%を回復してきており、それにもかかわらず在庫が増加するほど需要の弱い状況が続いています。特に先ほどから繰り返し触れているようにドライブシーズンの中でも需要の増加が期待される時期に需要が停滞している状況に変化がない限り、エネルギー市場の上値は重い状態が続くと予想されます。

 特に、世界最大級の石油消費国である米国の需要回復は、景気回復がなければ期待するのは難しいように思われますが、稼働能力の減少という供給サイドの要因から需給が引き締まり、これが価格をサポートする可能性が高い点には注意が必要と思われます。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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02月04日更新

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