大豆市場の強気はいつまで続くのか
シカゴ市場(通常取引)では7月初旬には落ち込んでいた大豆価格が7月7日以降に急伸場面を演じています。7月7日の始値は940.50セントでしたが、12日にはこの価格から約7.2%上昇した1009セントまで値を伸ばしました。その後も大きく値を崩すことはなく990~1,000セントのレンジで高下しています。
このように大豆価格が大幅に上昇した主な理由としてまず挙げられるのが、09~10年度における米国の大豆需給ひっ迫に対する警戒感です。
米国の09~10年度の大豆需給は、生産量が前年度の29億6,700万ブッシェルから33億5,900万ブッシェルへの大幅な増加が見込まれています。しかしながら、輸出用を中心とした需要の拡大を受けて、期末在庫率は当初に発表された7.4%よりジリジリと引き下げられ、最新の発表では前月予測の5.9%に対し、5.2%とされました。
米国内の大豆期末在庫率が10%を割り込むのは、これで3年連続となります。通常ならば、供給ひっ迫により価格が上昇すれば生産意欲が高まるため、翌年度には生産量が増加し、その結果、需給は緩和に向かう、とのサイクルを描きます。
実際、09~10年度の生産量は過去最大の水準まで膨らみました。それにもかかわらず、同様に需要の増加が予測されていることで、需給ひっ迫感が強く警戒される状況が続いているのです。
このように警戒感が強まるほど需給が引き締まる原因となっているのが、輸出用需要の拡大です。当初、09~10年度の米国の大豆輸出用需要は12億6,000万ブッシェルと予測されていました。しかしながら、最新の報告では14億6,000万ブッシェルと発表されています。
これは、通常ならば南米の大豆輸出が本格化するため、米国産への需要は減少する時期であるにもかかわらず中国向けの輸出が回復していること、などが背景となっています。
中国が米国産大豆に強い買い意欲を見せている理由としては、国内産地において乾燥した天候が広がっていることで国内の供給がひっ迫していること、人民元の弾力化やドル安により大豆の輸入価格が下落していること、が考えられます。
さらに、このような需給ひっ迫懸念が強いなかで米国中西部では一部で土壌水分の乾燥が進んだ結果、作柄が悪化したことが、追い風になったと思われます。
つまり、もともと米国内の需給は大豊作にもかかわらず供給ひっ迫が見込まれる状態だったところに、予想外の中国の需要が見られた結果、当初予測よりも需給が引き締まる可能性が高まったうえ、新穀に関しても作柄の悪化が見られた結果、需給ひっ迫に対する警戒感がいっそう強まったこと、が価格上昇の背景となっているのです。
とはいえ、この10ドル台という価格水準を今後も維持できるかどうか、という点に関しては疑問が残る状況となっています。というのも、現時点では作柄の悪化が報告されているとはいえ、現在、生育中の新穀の生産量は、過去最大となった前年度とほぼ同量の33億4,500万ブッシェルが予想されていますが、2年連続して豊作となることで、米国内の需給は緩和に向かうことが予想されるからです。
実際、米国農務省は10~11年度の米国の大豆輸出用需要を前年度の14億6,000万ブッシェルをわずかに下回る13億7,000万ブッシェルと予測していますが、それにもかかわらず、期末在庫率は11.4%への上昇が見込まれています。
また、大豆価格の高騰は同様に大豆の生産大国であるブラジル、アルゼンチンの生産意欲を高める、という点から見ても、中期的には需給は緩和に向かう可能性が高いように思われます。さらに、遺伝子組み換え種の導入率が90%を超えているため、よほどの天候不良がない限り、生産量に大きな影響が出る可能性は低いと考えられます。
8月の熱波は、大豆生産にとってもっとも警戒すべき時期で、心理面から売りにくくなり価格が上昇しやすくなる傾向があります。これに足元の需給ひっ迫も後押しする要因となって、目先の大豆価格は高値を維持するものと思われます。
しかしながら、中国の需要がどこまで続くか、という側面があるにしても、中期的には需給の緩和が見込まれることから、大豆価格の高騰局面が長期にわたる可能性は低いと考えられます。
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