中国の南ア参入が示唆する白金価格上昇の可能性
南アフリカのプラチナ探鉱会社であるWesizwe社は、24日月曜日に同社の白金開発関連資金として中国企業より総計で約8億8,700万ドルの投資を受けることを明らかにしました。
投資を実施するのは、中国の国営企業である金川集団公司と中国・アフリカ開発基金で、そのうちの直接投資としては2億7,700万ドルが用いられるほか、残りの6億5,000万ドルはWesizwe社が最重要視しているFrischgewaagd-Ledigプラチナ・プロジェクトに投下されることが決まっています。
当初このプロジェクトは南アフリカ国内で資金を手当てする予定になっていました。その後、リーマンショックの影響で資金不足に陥ったことでプロジェクト自体が1年以上に渡って保留されていましたが、世界景気は今後回復に向かうのではないかとの判断のもと、同社が3月にプロジェクト再開を発表していました。
今回の投資規模に関し、フィナンシャル・タイムス紙は、中国が南アフリカに対して実施した投資規模としては過去2番目の規模、と報じています。このように中国がプラチナ産業に対して大規模な投資を実施するのは、国内需要が近年大幅に伸びていることが背景となっています。
ジョンソン・マッセイ社の最新報告によると、中国の2009年度の年間白金需要は221万オンス。前年度の141万オンスから約57%と大きな伸びを見せました。その結果、消費国としての地位は、欧州、日本に次ぐ第3位だった2008年度に対し、2009年度には世界最大の消費国へと成長しているのです。
このように中国のプラチナ需要が大きな伸びを見せたのは、この近年、プラチナ最大の用途である自動車の触媒用としての消費量だけでなく、宝飾用需要が大きく拡大したことにあります。
同じくジョンソン・マッセイ社の報告によれば、2005年度は12万オンスだった中国の自動車用触媒としてのプラチナ需要は、2007年度にかけて増加し17万5,000オンスに達するものの、その後は減少に転じて2009年度には13万オンスに留まっています。
その一方で大きな変化が見られているのが宝飾用需要です。2005年度の同国の宝飾用需要は120万5,000オンスで、その後は緩やかに減少し2008年には106万オンスまで縮小したものの、2009年度には208万オンスへと大きく増加しているのです。この宝飾用需要の増加を受けて年間の白金需要も、前年度の141万オンスから221万オンスへと大きな伸びを見せています。
その理由としてジョンソン・マッセイは、金価格が上昇する一方で白金が低迷した結果、金と白金の価格差が縮小したことが白金投資の魅力を高めたこと、中国特有の暦のうえで2009年は婚礼に適した年だったこと、国内在庫が豊富で十分な供給が可能だったこと、などを挙げています。
2010年に関しては、大量の国内在庫を再び保有することは困難と見られるうえ、白金価格が2009年度に比べて上昇していることなどが理由となって、2009年ほど同国の宝飾用需要が膨らむ可能性は低い、と予測されています。
しかしながら、これまで国家主導のもと、石油、銅、金といった資源を確保するためにアフリカに大量の投資を実施していました中国企業がプラチナに関しても直接投資を実施し始めたことは、長期的な視点に立った場合、同国が将来的な白金需要の増加と世界的な供給の引き締まりを見込んでいることを示唆していると考えられます。
なお、南アフリカでは労働者のストが慣例化し、毎年供給不安を高める要因になっていることに加え、今年3月からは0.5%~5%という新ロイヤルティが導入されています。このような供給サイドの要因も、これまでと同様に白金価格を底上げする材料として市場に影響を与えることになるでしょう。
中国は13日にも南アフリカに対し、資源確保を目的として2億ドル規模の投資を発表したばかり、という事実が示すように、景気回復見通しが強まるに連れ中国のアフリカ投資が再び活発化し始めています。
前述の南アフリカ独自の要因に加え、中国の旺盛な需要とこれを賄うための資源確保の動きが加わったことにより、今後の白金価格は短期間での高下こそあれ、ジリジリと値位置を切り上げる可能性が高まっているように思われます。
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