日増しに弱気ムードが高まる大豆市場の背景
4月22日には、今年1月上旬以来、約100日ぶりに1,000セント台に達したシカゴの大豆価格は、5月3日に再び1,000セントを試したものの、それ以降は急激に地合いを崩し、18日には939.50セントで取引を終えています。5月の高値が1,002.75セント、そして安値が18日に付けた936セントとなっているため、わずか11営業日で65.75セントの下落を記録したことになります。
このように大豆市場が5月に入ってから暴落した主な原因は、下落に転じた時期から推測できるように、ギリシャの政情不安を受けて投機資金が流出したことにあります。特に、4月下旬にかけてはコーンや原油市場といった他の市場が景気回復期待を受けて上昇していたことが大豆市場への投機資金の更なる流入を招きました。
そのため、4月6日時点では8,221枚に過ぎなかった大口投機家の買い越し数は4月27日には6万8,099枚に達しています。このように投機資金が流入していたことが、その後の資金流出の動きによる大幅な下落につながっているのです。
現時点ではギリシャの財政問題は他南欧諸国に飛び火する恐れがあり、この問題が完全に解消される目処はまだ立っていません。しかしながら、たとえこの欧州の財政問題の見通しがついたとしても、大豆市場は今後、次第に弱気ムードが高まると予想されるのです。
その理由としてまず第一に挙げられるのが、米国の順調な作付状況です。米国農務省の発表によると、5月17日時点の大豆の作付進捗率は前年度の23%、過去5年間平均の35%に対し、38%となっています。
作付進捗率がこの程度の差であれば、大豆の作付作業はそれほどハイペースではない、と考えられるかもしれません。しかしながら、注目されるのはハイペースで作付が進行しているのは大豆だけではない、という点です。
大豆に先立って作付されているコーンの場合、同月日時点の作付進捗率は87%で、前年同時期の61%、過去5年間平均の78%を上回るなど、極めて早いペースで作付が進行しているのです。
このコーンの作付ペースが大豆の生産に影響を与える理由としては、コーンの作付が計画通りに実施されることで、コーンの作付の作業が、遅れて始まる大豆の作付期にずれ込み、その結果、大豆の作付面積が縮小する可能性が低下する点にあります。
そのため、現在の状況から見ると、今年度の大豆の作付面積は、米国農務省が5月11日に発表した需給報告において明らかにした7,810万エーカーという過去最大の作付面積を示現する可能性が高まったと言えるでしょう。
同時に、適時の作付は"8月の熱波"という大豆生産における最大の敵による被害発生のリスクも緩和することになります。これに加えて高イールドの遺伝子組換種の導入率が上昇していることを考慮すれば、米国内の大豆生産量が2年連続して33億ブッシェルを超える大豊作になる、という米国農務省の予測も現実味を帯びてくるのです。
その一方、米国では大豆のベーシスが次第に低下しています。ベーシスとは、現物価格と先物市場における価格の差で、このベーシスが大きければそれだけ現物の供給が逼迫している(=現物の価格が高い)、と考えられます。
アイオワ州の発表によると、5月上旬には55セント前後で推移していた大豆のベーシスはジリジリと低下し、5月17日時点には44セントまで低下しています。これは、コーンと大豆の作付が順調に進行していることを受けて今夏の生育見通しが付きつつあるため、今後の供給用として手元に保管していた大豆の現物を、米国中西部の農家が放出し、その結果、現物価格が低下していることが背景と考えられます。
この足元の大豆供給緩和とこれを受けたベーシスの低下はその下落幅がわずかとはいえ、南米の大豆輸出が本格化しているうえ、過去最大の生産量が予測され、なおかつ大豆の生育が順調に進行している中においては、大豆市場にとって上値を抑制する要因になりかねません。
欧州経済に対する懸念が根強く、今後も投機資金の流出入によって大豆市場の動きが翻弄される可能性は高いと思われます。とはいえ、ファンダメンタル面は日増しに弱気の様相を強めているだけに、投機的要因が織り込まれた後の大豆市場は、ファンダメンタル面が重石となって上値を抑制される展開が続くことになりそうです。
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