中国の変化と南米の動向が示す大豆市場の基調の弱さ
今年に入ってから米国農務省が発表している09~10年度の週間輸出高報告にある変化が見られ始めています。まず、気が付くのが、昨年11月27日には243万4,000トン余という高い水準での輸出高が報告されるなど、前年度を大幅に上回るペースで行われてきた米国の大豆輸出が、減少傾向を強めている、という点です。
年初の輸出高は162万3,057トンでしたが、最新の輸出高報告によれば、2月25日時点の輸出高は109万7,571トンに減少しているほか、前週の112万1,950トンを下回っています。
昨年同時期の輸出高は75万1,872トンだったため、前年度比で見ると米国の大豆輸出は好調と見られるものの、やはり昨年11月、12月にはたびたび200万トンを超える輸出高が報告されていたことを振り返ると、現時点での米国の大豆輸出は一時期の勢いを失いつつある、と考えることが出来ます。
その主な要因となっているのが、09~10年度の米国大豆輸出を牽引してきた中国の大豆輸入意欲の後退です。
2000年に大豆輸入を自由化して以来、中国の大豆輸入量は年々増加し、今や世界最大の輸入国に成長しました。それと同時に、米国にとっても最大の輸出相手先国となっています。因みに、08~09年度における米国の大豆輸出先は約55%が中国向けで占められていました。
その中国が、主要産地が干ばつに見舞われて減産となったことを受けて、前年度以上に大豆輸入に力を入れたことが、前述のように週間輸出高が240万トンを超える記録的な水準に達したこと、そして2月25日時点の累計輸出高が前年同時期を34.3%上回る3,006万トンに達する背景となっています。
特に、昨年10月23日~12月18日間は、中国向けの輸出高が100万トンを下回ったのは11月20日の91万4,451トンと12月4日の72万3,640トンだけ、という、旺盛な買い意欲を見せていました。しかしながら、2月25日時点の輸出高は64万6,948トンと、10月23日以降で最も低い水準まで落込んでいます。
中国向け輸出に変化が見られているのはそれだけではありません。米国農務省は輸出高と同時に、輸出に向けてどの程度の量の成約が行われたか、つまり、これからの米国の大豆輸出量を示す発表として注目される輸出成約高も発表していますが、2月25日時点の中国向け輸出成約高は約-(マイナス)400トンに落込みました。
これは中国が、一度は米国産大豆の輸入を契約しながらもそれをキャンセルしたことを示唆する動きと考えられます。このような中国の需要低迷もあって、輸出成約高自体も今年度で最も低い18万2,400トンに留まったことが明らかとなっているのです。
中国の米国産大豆需要が大きな落ち込みを見せた理由に関しては、2月末時点という時期を考慮すると、この時期に収穫が本格化する南米産へとシフトした可能性が最も高い、と考えられます。
もともと、米国内の大豆需給は、期末在庫率が一桁台に落込むことが予想される危機的な水準が見込まれていますが、主要大豆輸出国に成長した南米の需給を含めた世界的な視点から見ると、期末在庫率は25%を超えるなど需給は潤沢な状況にあります。
これに加え、アルゼンチン、ブラジルの09~10年度の大豆輸出量は2カ国合わせて約3,260万トンと、世界輸出の35.7%を占める見通しとなっています。そのため、米国で需給が逼迫すれば南米産で代替できる、という構造が出来上がっていますが、今年に入ってからの米国の大豆輸出動向の変化は、この世界の大豆需給構造を受けた輸入国側の動きが顕著に現われた動きと言えるでしょう。
なお、一部では中国の大豆需要が南米産にシフトする量は、これまで予想されていたよりも少量に留まる、との見方も浮上しています。しかしながら、ブラジルでは09~10年度の大豆生産量予測が上方修正されるなど、好調な生産状況が明らかにされながらも、3月5日時点の収穫進捗率は32%と、大豆供給が本格化するのはこれから、という状況にあります。
今後、中国の大豆輸入がどのような動きを見せるか、という点は南米諸国の収穫状況や品質、為替の動向が大きく影響してくることになります。しかしながら、天候相場に対する意識が高まるなか、寒波に見舞われた影響で今春の米国のコーン作付が遅れる可能性がある、という新たな弱気材料が台頭していることもあり、大豆市場の基調が強まるにはまだまだ時間がかかるように思われます。
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