高値で推移するコーヒー市場の今後を考える
2009年3月半ばに110セントを割り込む水準まで下落していたICEのアラビカコーヒー先物価格(通常取引)は、09年12月16日に08年8月下旬以来となる150セント達成間近まで価格が上昇しました。
その後は下落した後は再び盛り返す動きを繰り返し、現地19日の終値は140.90セントを記録しているほか、09年12月初旬以降は、リーマンショックが発生する直前に推移していた135~150セントで推移しています。この価格水準は、42.2~171.6セントという過去10年間におけるアラビカコーヒーの価格レンジから見れば、高水準に位置することから、現在のコーヒー市場は底意の強さを窺わせる動きが続いていると考えられます。
このようにコーヒー価格が高値で推移し続けている最大の理由としては、供給に対する不安感が挙げられます。この供給不安を高めているのが、世界最大の生産国であるブラジルの生産が前年度を割り込むとの見方、そしてアラビカ生産国としては世界第2位の生産量を誇るコロンビアの減産による足元の供給ひっ迫です。
まず、ブラジルに関してですが、コーヒーの木は増産期の翌年は減産期を迎え、その次の年は再び豊作期になる、といった生産サイクルを描きます。ブラジルでは08~09コーヒー年度(08年7月~09年6月間)は大豊作となっているため、これから収穫期を迎える09~10年度は減産期に当たります。
米国農務省の発表によると、ブラジルの09~10コーヒー年度のコーヒー生産量は、4,350万袋で、前年度の5,145万袋から約15.5%の減少を記録することが見込まれています。ブラジルのコーヒー生産量は、世界の生産量の約30~40%を占めているだけに、同国の減産は世界の供給量に大きく影響を及ぼしますが、09~10年度も同様で、世界の生産量は前年度の1億3,003万袋から1億2,521万4,000袋へと減少することが予想されています。
ただ、この米国農務省の発表は09年12月18日時点のものであり、ブラジルの収穫がこれからということを考慮すれば、天候次第では供給が更に引き締まる可能性があることが、市場では警戒されているのです。
また、アラビカの生産国としては第2位の地位を誇るコロンビアに関しては、米国農務省の発表では09~10年度のコーヒー生産量は前年度の866万4,000袋から900万袋に増加することが見込まれているものの、実際には2年連続して天候不良に見舞われていることから、07~08年度まで記録していた1,150万~1,250万袋という水準を、大きく下回るものとなっています。なお、このような現物の供給逼迫を受けて、コロンビア国内の現物コーヒーに対するプレミアムは1月上旬から半ばにかけて20~25%の値上がりを記録しています。
なお、このアラビカ2大生産国の供給量引き締まりに、ハイチでの大地震発生が追い討ちをかける、との見方が強まっています。もともと供給引き締まりに対する警戒感が強いなかでは、このようなサプライズ要因は強気材料視される傾向がありますが、実際にはハイチの年間生産量は35万袋前後と、ブラジル、コロンビアと比較するとごく少量に過ぎません。そのため、同国の大地震がコーヒー供給に与える影響は、世界的な供給量から見た場合、わずかな程度に留まる可能性が高いことには注意が必要でしょう。
一方、需要面はどのように影響を与えているか、というと、世界景気の見通しが不透明な現段階では、短期的に価格を引き上げるほどの影響を与えていない、と考えられます。しかしながら、先進国のコーヒー需要はすでに成熟段階にある一方、新興国の需要は、この近年の経済成長に伴い増加する途上にあります。
世界経済の見通しについては、今なお弱気な米国の経済指標が発表される場合があるだけに、依然として不透明感が強い状況にあります。しかしながら、IMFが予測するように、新興国の主導により経済回復基調が強まるのであれば、新興国が主導して世界のコーヒー消費が拡大する可能性が高まることを意味しています。主要生産国の減産による供給ひっ迫という現状に、新興国の経済成長という要因が重なれば、コーヒー市場にとって更なる追い風が吹くことになるかもしれません。
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