強まる景気回復感とETF認可で高まる白金市場の期待感
NY市場では、現地5日の通常取引において白金価格が2008年8月上旬以来の水準となる1,545ドルまで値を伸ばした後、前日より13.9ドル高の1,537.8ドルで取引を終えました。一方、昨年12月にかけて大きく上昇した金は、米ドルが堅調な足取りを見せていることが上値を抑制する要因となって、1,150ドルを上値抵抗にしての推移が続いています。
白金の価格を中期的に見ると、コモディティ・バブルの様相が濃かった08年7月上旬までは史上最高値の水準となる2,000ドル台で推移していました。しかしながら、08年7月半ばには、価格上昇に対する警戒感が強まると同時に、米国景気が減速し触媒需要が減少するのではないかとの懸念が強まるなかで大きく値を崩しています。
更に、その後9月半ばにはリーマンショックが発生したことが追い討ちとなって、10月27日には2004年7月以来の最安値となる752.10ドルまで下落しました。しかしながら、その後は、景気の先行きに対する不透明感が強い状況であったにもかかわらず、緩やかな上昇基調を維持し、前述のように1,500ドル台まで値を戻してきているのです。
このように中期に渡って白金価格が上昇トレンドを維持している理由を需要サイドから見ると、各国政府が様々な景気対策を実施したことで、将来的な景気回復に対する期待が次第に高まっていることが一因と思われます。また、中国の経済成長が底固さを見せると同時に、同国の自動車販売台数が好調を維持して世界一となったことも、主な背景の一つとなっているでしょう。というのも、白金は一般的には宝飾品として知られているものの、近年は自動車用触媒としての需要が宝飾用需要を大きく上回る状況が続いているのです。
ジョンソン・マッセイ社の発表によれば、白金の触媒用需要が宝飾用需要を初めて上回ったのは2003年ですが、この年の宝飾用需要は2,510トンとなっていたのに対し、触媒用需要は3,210トンに達していました。その後は2008年まで触媒用需要が増加し続ける一方で宝飾用需要は減少傾向を強め、2008年の需要は、宝飾用が1,365トン、触媒用が3,700トンとなっています。
なお、2009年に関しては、宝飾用が2,450トンへと大きく上昇する一方、触媒用需要が2,480トンへと急減しています。これはリーマンショックの影響による経済の低迷が触媒用需要の減少を招く一方、リーマンショック以降の白金価格下落が値ごろ感を強めた結果、宝飾用需要が膨らんだことが背景になっている、例外的な動きと考えられます。
このように、金と同様に投資用の貴金属とされる白金ではあるものの、その需要の約40~60%が景気動向に左右されやすい触媒用需要で占められているため、その値動きは投資用需要としての役割が増している金に比べ、景気の先行きに対する市場の見方に、より敏感に反応すると考えられます。実際、白金の価格はダウ平均が底を打った09年3月に4ヶ月先駆けて反発に転じているほか、09年3月以降はダウ平均と足並みを揃えるように上昇トレンドを描いています。
このような白金の上昇基調を刺激しているのが、米国市場における白金系ETFの上場認可でしょう。米国では昨年末、米国証券取引委員会(SEC)が英国のETFセキュリティーズが申請していた米国での白金ETF上場を認可しました。ETFという形で上場されることにより、金ETFで経験したような投資用需要の増加が期待されているほか、投資家の裾野が広がると同時に流動性が高まることが流入する投資資金の規模拡大を促すのではないかとの見方、そして金と同様に投資用需要が増加する、との期待が高まっています。
米国では、失業保険申請件数やISM製造業指数など、強気の経済指標が発表されていますが、このような経済指標を受けて、景気の先行きに対する期待感はいっそう強まりを見せています。この景気回復を背景にした白金需要の増加期待に、ETFを通した新たな需要が創設されるようであれば、これらの要因が白金価格を押し上げる一因になってくると見られるだけに、景気動向、そしてETFの動向が注目されるところです。
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