2010年の原油価格は景気回復なら上昇もポイントは依然として在庫
現地12月23日時点のNY原油先物価格は、76.67ドルとなっています。12月14日には69.51ドルまで値を落としながらも、その後は反発に転じました。特に寒波に見舞われたことで暖房油需要が増加したことと、原油在庫量が約490万バレルと大幅に減少したことが好感された23日の取引では、前日より2.27ドルと大幅な上昇を記録しています。
ところで、この価格水準を年初時点の40.83ドルと比べると、約1.88倍となります。年初時点の価格は、金融危機に対する警戒感からリスク回避の動きが異常なまでに強まった結果、大幅に落ち込んでいた水準であることが、この大幅な価格上昇率の原因となっています。
また、具体的に挙げるならば、各国による景気対策案や大規模な資金供給を受け、次第に金融危機に対する警戒感が日を追うに連れて薄らいだこと、そして、金融危機にもかかわらず、中国が安定した経済成長を見せたことが原油需要に対する安心感を与えていたこと、更にはこのような経済環境の変化を受けて投機資金が再び原油市場に流入したことなどが、現在の水準まで価格を押し上げた主な要因となるでしょう。
とはいえ、2009年における原油価格の高値は82ドルで、バブルの様相を呈していたとはいえ2008年7月に付けた146.65ドルという高値を約56%と大きく下回るものです。また、2007年12月24日時点の終値が96ドルだったことを振り返って見ても、現在の価格水準に頭の重さが感じられる点は否めません。
その理由としては、金融当局による取引規制強化、経済危機が影響し世界の原油需要に対する見通し不透明感が強い点、世界の需要増加見通しが立たないだけにリスク回避の傾向がより強まり資金の流出入ペースが速まった結果、継続的な価格上昇が困難になった点、そして何よりも米国内の原油・石油製品在庫が過剰とも言える水準にあることが考えられます。
というのは、時には経済の血とも言われる石油の需要動向は企業の活動状況や個人の消費意欲に敏感に反応することから、在庫が過剰な水準にある、というのは、企業そして個人ベースでの需要が停滞している、ことを示している、と捉えることが出来るのです。つまり、経済指標は米国経済の底入れを示唆しているとはいえ、米国の実体経済は旺盛に石油を消費するほどにはまだ回復していないことを石油在庫の状況が示しているとも言えるでしょう。
なお、前述のように現地23日における米国エネルギー省エネルギー情報局の発表によれば、12月11日~18日間で米国内の原油在庫量は約490万バレルと大幅な減少を記録しています。12月に入ってから米国では厳しい寒波に見舞われただけに、石油需要が増加したことが、この在庫減少の一因にもなっているでしょう。
しかしながら製油所の稼働率は80.04%と前週の79.95%から僅かに上昇したに過ぎません。そればかりか、90%近くに達する例年の水準をも大きく下回っているのです。これは、依然として製油所側は低迷する消費に対応するために減産という手段を実施している状況を示唆しています。
それだけに、今回の大幅な原油の在庫減少は必ずしも需要の増加によるものではなく、在庫に対する課税を逃れるために製油所側が在庫を海上のタンカーなどに移動させたことによる見せかけの在庫減少である可能性が高いことが推測されるのです。
2010年の世界経済については、緩やかな持ち直し傾向を維持するとの見方が大勢を占めています。予想されているように、経済の回復が実現すればこれに伴い、米国内の過剰な原油在庫も次第に縮小に向かうことになり、これに伴い原油価格に対する強気な見方が広がることになるでしょう。
また、2010年の原油市場は、ドル高が上値を抑制する要因として意識されるなか、まず世界経済の回復によって価格を押し上げる要因となり、そしてこの景気回復が世界最大級の石油消費国である米国内の在庫縮小によって裏付けられることにより、さらに地合いを固めるという形で、上昇が実現されることになるかもしれません。
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