寒波襲来で直面するコーン需給の引き締まり
シカゴ市場(通常取引)のコーン先物価格は、12月1日に421.25セントと目先の高値を付けた後は下落に転じ、一時は379セントまで下押されました。しかしながら、その後は一転して基調を強め、11日に以降は400セント台での往来が続いています。
この価格上昇の背景となっているのは、米国中西部における寒波の襲来です。米国中西部の中心地であるシカゴでは、10日木曜日には-17℃まで気温が下がったほか、ウィスコンシン州では9日に48cmの積雪を観測したうえ、この豪雪の影響で車が埋もれたり、停電が発生するなどの被害が報告されています。
このような厳しい寒波の襲来を受けて、コーンの生産量がこれまでの予想を下回る、との見方が広まったことが、先に触れたコーン価格の上昇の主因となっていました。しかしながら、実は寒波の襲来がコーン生産量に影響を与えるのは、異例のことなのです。
というのも、コーンは4月~6月初旬にかけて作付が開始され、9月末までにはほぼ収穫を終えているのが通常のシナリオだからです。12月に入ってからの寒波が生産量に影響を与える可能性が高いのは、むしろ、コーンよりも生育時期が1ヶ月ほど遅い大豆の方です。にもかかわらず、今年は12月というコーンにとっては季節外れに当たる時期に生産量が減少する恐れが高まっているのは、コーンの収穫が異常なまでに遅れていた、という点が挙げられるでしょう。
米国農務省の発表によれば、例年ならば90%前後に達する11月半ば時点のコーンの収穫進捗率は、今年は54%に留まっていました。これは10月に記録的な大雨となったことが、収穫の妨げとなったことが一因となっていますが、それにもかかわらず、大豆の収穫率はほぼ例年並のペースで進んでいるのです。
このようにコーンの収穫だけが大幅に遅れた理由としては、米国内の供給ひっ迫が懸念されている大豆の価格が、コーン価格に比べて大幅に上昇していたことから、農家がコーンよりも大豆を優先して収穫を行ったことにあります。
通常、大豆とコーンの価格比は、種子価格に肥料、農薬などを加えた原価を基にすると、大豆がコーンの2.3倍程度になるのが適当、とされています。しかしながら、米国の大豆期末在庫率が08~09年度は4.5%、09~10年度が7.9%と、2年連続して一桁台に落ち込むとの予想が発表されたことで、大豆に対する供給ひっ迫懸念が高まった結果、8月末には大豆価格がコーンに対して3倍にまで上昇する高騰場面を演じました。
さらに、今年は干ばつに見舞われた影響で生産量が大きく落ち込んだと見られる中国が、米国産大豆を積極的に輸入し、これが米国の大豆輸出の大幅な増加を促したことも大豆価格の強気観測を後押ししたことも、結果としてコーンの収穫遅れにつながったものと思われます。
米国農務省が現地15日に発表したクロップ・レポートによれば、13日、日曜日現在における米国中西部のコーン収穫進捗率は92%でした。そのため、現在は8%、およそ634万エーカーのコーンが未収穫となっていることになります。この面積と予想されているエーカー当たりのイールドを基にして割り出すと、約10.3億ブッシェルのコーンが未収穫になっていると想定されます。
また、寒波の襲来にもかかわらず、米国中西部ではコーンの収穫作業を進める動きが見られています。しかしながら、仮に現時点での未収穫分の全ての収穫が放棄され、同時に現時点で予想されている程度の消費が行われるとすれば、米国のコーン期末在庫量は米国農務省による最新予測の16億7,500万ブッシェルから6億3,100万ブッシェル程度まで急減し、その結果、期末在庫率は5%前後まで急低下することになります。
実際には、未収穫のコーン全ての収穫が放棄される可能性は低いほか、需給引き締まり観測が強まって価格が上昇すれば、需要が減少することが見込まれるため、最終的な需給の引き締まりは、上記ほど急激なものにはならないと考えられます。
しかしながら、大豆価格の高騰は南米諸国での大豆増産とコーン減産という影響をもたらしているほか、干ばつの影響で中国が減産となったことで、中国からコーンを輸入しているアジア諸国の需要が米国産に向けられる状況も見られています。現時点では適正とされる米国のコーン需給ですが、寒波という異例の材料の台頭により、需給引き締まりの可能性に直面していることに注意が必要でしょう。
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