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大豆価格上昇の後ろに見える中国の影

 シカゴ市場では大豆価格の上昇が続いています。3月上旬以降、強い足取りが続いている大豆7月限の価格は現地19日の取引で、1,169.50セントと今年に入ってからの最高値を付けた後、1,162セントで取引を終えていますが、これは昨年9月下旬のリーマンショック直後とほぼ同じ価格水準になります。

 大豆と同様にシカゴ市場で取引される最も重要な商品の一つであるコーンの価格が、リーマンショック直後の9月22日の週には535.25~574.00セントで推移していたのに対し、19日現在の終値が425.75セントであるところを見ると、同じ米国中西部を代表する農産物でありながらも、大豆とコーンの基調の違いがお分かり頂けるでしょう。

 この大豆価格の高騰を支える要因となっているのが、南米諸国の減産とこれを受けた米国の大豆輸出量の増加、そしてその結果としての米国および世界の大豆期末在庫率の低下、というファンダメンタルであることは、これまでにも取り上げて来た通りですが、その中でも顕著な需要を見せているのが中国なのです。

 米国農務省が発表する週間の輸出報告によれば、大豆年度の年初である08年9月4日以降の米国の中国向け大豆輸出成約高は、5月7日時点で、累計で1,675万7,116トンに達しています。米国の大豆輸出は年度末まで約3ヶ月と3週間を残していていますが、それでもこの輸出量は、過去最大を記録した07~08年度の年間輸出成約高の1,335万3,302トンを、約25%上回るものとなっています。

 特に注目したいのは、07~08年度は北京オリンピックを控えていたため、オリンピックに備えた食糧の備蓄が積極的に行われていた年だったにもかかわらず、現在の米国産大豆輸入量が遥かにその当時を上回っている、という点です。

 また、今大豆年度における中国の米国産大豆輸入のもう一つの特徴として挙げられるのが、通常ならば4月以降の中国の大豆輸入相手先は、3月に収穫を終える南米へとシフトする傾向がありますが、今年に関しては4月以降も米国産大豆の輸入量が順調に伸びている、という点です。その結果として、前述のように中国の米国産大豆輸入量が増加していることは、南米の大豆減産が米国の大豆輸出に及ぼす影響の大きさを示唆していると言えるでしょう。

 なお、中国がこのように強い需要を見せている理由として挙げられるのが、国内の豚肉需要の増加、と考えられます。その理由の一つとして、経済が停滞している場合、食用肉の需要は牛肉→豚肉、豚肉→鶏肉、とより廉価なものへと移行する傾向が強まることが挙げられます。

 この点に関し、米国農務省が4月に発表した中国の食肉需要予測を見てみると、中国の経済成長が脚光を浴びた2008年度における牛肉需要は、2007年度の606万5,000トンから606万2,000トンへと同程度を維持しましたが、2009年に関しては596万8,000トンに落ち込むことが予想されています。一方、豚肉需要に関しては、2007年度が4,272万6,000トン、2008年度が4,635万7,000トン、そして2009年度が4,879万トンへ増加することが見込まれているのです。

 なお中国は、豚肉生産量は世界最大(2008年度の場合、4,615万トン、2位EU27カ国の生産量は2,253万トン、いずれも米国農務省の発表による)でありながらも、そのほとんどが国内で消費される伝統的な豚肉消費国です。現在、世界経済の底打ち感が強まり、日経平均やダウ平均などの上昇が見受けられるほか、原油価格も回復基調を強めていますが、世界景気が回復に向かうようであれば、世界の工場と言われる中国の経済成長も同様に上向き、これが中国における食生活の変化と更なる豚肉消費量の押し上げにつながる可能性も考えられます。

 現在、穀物市場は天候相場期と呼ばれる時期を迎えています。米国中西部では、雨が降り続いた影響でコーンの作付が遅れているため、今後、コーンに比べて割高な大豆へと作付がシフトするかどうかが注目要因となっています。多くの場合、コーンの作付が遅れている時点で大豆の増産を織り込み、コーン価格が上昇するのに対し、大豆価格が伸び悩む、という動きが見られます。

 しかしながら、中国を筆頭に根強い需要が見られる今年の場合、短期運用の大口投機家だけでなく、指数連動型のトレーダーも買う姿勢を強めています。5月末にかけて、どの程度米国中西部でコーンの作付が進展するか、という点が、目先、もっとも注目されるポイントとなってきますが、伸び続ける中国の需要を見る限り、大豆市場の基調は簡単には崩れそうにないように思われます。

平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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02月04日更新

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