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作付報告が示す大豆価格上昇の可能性

 7月1日のシカゴ市場では、6月23日には14.76ドルまで値を落としていた大豆価格が急伸し、ついには16ドル台に達するなど史上最高値を更新しています。これは、前年同時期に比べると約79.8%の値上がり率を記録したことになります。

 これまで大豆も価格の高騰場面が続いていましたが、今年に入ってから早々に史上最高値を更新したコーン、小麦、に比べると足取りが鈍い状況が続いていました。その大豆価格を押し上げる要因になったのは、現地6月30日に発表された米国農務省が発表した作付面積報告です。

 同省は毎年、春の作付が開始される前の3月末に農家の意向を調査した上で、今春の作付面積意向を発表します。これに続き、6月末には作付面積を発表しますが、前者は事前に生産者の作付意欲を知ることで今秋の収穫量を予測するための指標とされるのに対し、6月上旬までの状況が反映された後者は生産量をより具体的に示す報告として重要視されています。

 その作付面積報告で今回は大豆の作付面積が3月末時点の予測7,479万3,000エーカーから7,453万3,000エーカーへと下方修正されました。ただ、下方修正と言っても大豆の作付面積が11年ぶりに7,000万エーカーを下回った前年度に比べると増産が期待できることになります。

 しかしながら、作付面積の下方修正が判明していない段階で発表された需給報告における08~09年度の米国大豆期末在庫率が、供給ひっ迫が危機的と見られる水準である5.7%をさらに下回るとの観測が警戒感を呼んだことがこの数日の大豆価格高騰を招く主要因となっているのです。

 通常ならば、このような大豆価格の高騰や時期的な問題から、アイオワ・イリノイの両州で洪水により消失した農作地やこれから作付が行われる地域では大豆の作付が積極的に行われる可能性が高まることになりますが、今年に関しては異なる状況が予想されます。というのも、シカゴ市場ではコーンが史上最高値を更新し続けている影響で大豆との比価が大幅に縮小しているからです。

 このコーンと大豆の比価は、大豆の価格がコーンの価格に対して何倍になっているかを示したものです。その比価が従来の年間平均である2.5前後(大豆の価格がコーンの約2.5倍程度)に対し、現在は縮小傾向が強まっているのです。これは、それだけコーン価格の上昇ペースが強く現地の生産者にとって大豆よりもコーンを生産した方が利益が出るということを意味しています。

 例えば、今年7月1日時点のシカゴ市場における大豆とコーンの比価は2.2。2006年が2.41、2007年が2.62だったことに比べると、現時点ではコーン価格が大豆に対して上昇していることが分かります。

 仮に、7月1日時点のシカゴ市場の終値と今年度のイールド予測、そして前年度の推定生産コストを当てはめた上で試算すると、1エーカー当たりの利益は、コーンが895ドル前後に達する見通しであるのに対し、大豆の利益は580ドルに留まることが見込まれます。

 このような収益面での差を考慮すれば、アイオワ・イリノイ両州の洪水発生地域では、時期的に遅いという問題がありながらも洪水で消失した農作地にコーンを再作付けする可能性が高いと思われます。実際の動向を知るには8月の発表を待たなければなりませんが、コーン価格の高騰が続いた影響が大豆の更なる高値を招きかねない状況が続くかもしれません。

平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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02月04日更新

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