
金ETFの買い付け残高増加に見る金の底固さ
現地24日に発表された6月の米国消費者信頼感指数は、1992年2月以来の水準に悪化し50.4となりました。この発表以前にも、モルガン・スタンレー、モノライン大手アムバックなど米系金融機関の債務格付けの引き下げや収益見通しが下方修正されるなど、米金融機関に対する不安感は強く、依然として米景気の回復見通しが立たない状況が続いています。
また、この状況を受けて5月19日に1万3,028ドルに達していたダウ平均もこの時を境にして下げ足を強め、3日連続の下落を記録した6月24日には1万1,807.43ドルで取引を終えています。この動きはサブプライムローン問題の根深さが改めて浮き彫りにすると同時に、景気低迷に対する懸念を映した一例と言えるでしょう。
ただ一方では、米景気に対する不安感の再燃をきっかけにしてある変化が見られています。それはNY証券取引所など、海外市場で上場されている金ETFの買い付け残高の増加です。主要4取引所における金ETF買い付け残高は現地6月11日時点の749.98トンから、6月24日時点には780.63トンに達しているのです。
実は、金ETFの買い付け残高が急激な増加を見せたのは今回が初めてではありません。サブプライムローン問題の浮上により信用市場の収縮が顕著となった昨秋以降、金ETFの買い付け残高は増加の一途を辿り、07年9月4日時点の632.78トンから今年3月18日には825.25トンに達しました。そして、この間のNY市場における金価格は、709.7ドルから史上最高値となる1,017.5ドルへと躍進しているのです。
今回、このように買い進まれた理由としては、"金融不安"、"有事"、"インフレ"、"ドル安"、に強いという金の特徴、なかでも、"実物が存在するため資産としての価値がゼロになることはないという金融不安に対する強さが注目されたこと"が最大の要因として挙げられるでしょう。
そして、4月21日から24日のわずか3日間で約50トンもの減少を記録すると同時に、この間に約19億3,228万ドルの資金の流出した(共に金ETF引き受け会社であるストリートトラックス社の発表よる)にもかかわらず、ここにきて金ETFの買いつけ残高がダウ平均の下落に反して再び増加していることは、米国景気の見通し不安の強さとそのリスクを回避するための資金が再び金市場に向けられているという状況を示唆していると思われます。
なお、金ETFの買い付け残高が増加している理由はこれだけではありません。200ドル論も浮上するほどに高騰している原油価格の影響で高まるインフレ懸念も金投資に対する関心を高めていると考えられます。
というのも、品質が劣化しないため長年保有していても資産としての価値が減少しないばかりか、インフレが進行すれば金そのものの資産価値も上昇すると考えられるため、金はインフレに強い資産として広く認識されているからです。
なお、海外で取引されている金ETFとは法制上の理由から若干の違いがありますが、日本でも6月30日に東京証券取引所で金ETFが上場されることになりました。基準価格が決定されるのは1日に1回という投資信託と異なり、証券と同様に株式市場の取引時間であれば自由に売り買いできる金ETFが上場されることで、急激な変化を見せる金融市場への対応が可能となったほか、世界経済の流れに乗り遅れることなく金の売買を行うことが出来ることになります。また、現在の金価格を基準にすれば投資単位は一回あたり3万円前後と市場参加へのハードルが低いことも金ETF取引の魅力と言えるでしょう。
止まらない原油価格の上昇を受けて世界的にインフレの進行が懸念されるなかで金ETFが上場されることは、投資家にとってインフレヘッジの手段が拡大することを意味します。米国経済が混迷を見せていることに加え、将来の物価高が懸念される状況だけに、金ETFを含めた金投資は今後も広く関心を集めることになり、その関心の高さが金価格を支える要因となりそうです。
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